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こども映画教室@高知県 須崎市 新荘小学校

-文化芸術による子供育成総合事業「赤いボールを主人公にした映画を撮ろう!」-

*こども映画教室のワークショップは、こども映画教室の知的財産です。許可なく同様または似通ったワークショップをすることを禁じます。

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<開催概要>

日程:2019年7月1日(月)〜7月2日(火)
​会場:高知県 須崎市 新荘小学校
​参加人数:38名(小学3~6年生)
 

主催:文化庁
制作:一般社団法人こども映画教室 

特別講師:諏訪敦彦(すわ のぶひろ) 

84年に8㎜で撮った『はなされるGANG』でPFFに入選。97年には『2/デュオ』で長編映画監督デビュー。ロッテルダム映画祭でNETPAC賞を受賞。2作目『M/OTHER』では三浦友和を起用してカンヌ映画祭国際批評家連盟賞を受賞。アラン・レネの『二十四時間の情事(ヒロシマ・モナムール)』を大胆にリメイクした3作目『H Story』など、日仏の名だたる俳優とコラボレーションしながら「新しい映画」を模索。ヨーロッパを中心に現代映画の担い手として世界的な評価を得る。日仏合作映画『不完全なふたり』は、ロカルノ映画祭(スイス)で審査員特別賞を受賞、フランスでもロングランを記録した。

また、映画教育を「映画を探究する場」として位置づけ、東京造形大学、映画美学校、東京藝術大学大学院で学生たちとコラボレーションもしている。

こども映画教室には2009年から参加し、今は一般社団法人こども映画教室の社員であり、理事である。

2018年公開のヌーヴェルヴァーグを代表する俳優ジャン=ピエール・レオー主演による『ライオンは今夜死ぬ』は自身のこども映画教室での体験から産まれた作品である。

最新作はモトーラ世理奈、西島秀俊、三浦友和、西田敏行をキャストに迎えた『風の電話』で、2020年春公開予定。

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1日目

鑑賞ワーク

みんなで鑑賞するのは『赤い風船』(アルベール・ラモリス監督/1956年/仏)。

​パリを舞台にした少年パスカルと赤い風船の物語です。

映画の中で赤い風船は自由自在に動き、言葉も話さないのに、まるで生きて「気持ち」があるように見えてとっても不思議です​。

チームに分かれて座ったら、いつもの体育館が真っ暗になり映画館に!! いよいよ映画の上映開始!

はじめは静かに映画を観ていたみんなでしたが、物語が進むうちに笑ったり、思わず風船とパスカルに声をかけたり。

風船だけでなく、みんなの気持ちもたくさん動いている様子でした​。

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映画を観終わったら、今度は『赤い風船』がどんな映画だったかをみんなで書き出しながら思い出します。

・どんな人が映っていた?

・どんな場所が映っていた?

・どんなできごとが起こった?

​の3つの質問にみんなそれぞれ考えて、たくさん書き出していきます。

思っていたよりも思い出せないチームもあれば、たくさん書いて紙が足りなくなってしまったチームも。​

​書き出した紙を映画の順番を思い出しながら、映画の始まりから終わりまでを表す長い紙(タイムラインシート)に貼っていきます。

書き出しワークの様子

黄色チーム

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書き出しワークの様子

書き出しワークの様子

書き出しワークの様子

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どんなものが映っていたかを思い出したら、次は「風船の気持ち」を考えます

パスカルが助けてくれた時や、校長先生がパスカルを閉じ込めた時、風船はどんな気持ちだったんだろう?

みんな風船の気持ちになっていろいろな気持ちを風船型のカードに書き出していきます。

「たすけてー!」「大好き!」「にげろー」「おいしそう」「中に入れて」「ハロー」などなど、たくさんの風船カードが出ました。

​さぁ、みんなはどうして風船がそんな気持ちを持っているように思ったのかな?

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撮影ワーク

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「赤い風船」の気持ちをみんなで考えたら、次はいよいよ撮影!

みんなの映画の主人公は赤い風船ではなく「赤いボール」。

作るのは『赤いボールの冒険』という映画です。

まずは「ルールブック」が各チームに配られ、諏訪さんから映画をつくるうえでのルールが説明されます。

次に「ミッションカード」が配られ、一人ずつ撮影のミッションをクリアしていきます。

​ミッションをコンプリートして、撮影のコツもつかんだら、いよいよ本番。

「赤いボール」の気持ちが伝わるような映画をつくります。

​あいにくの雨だったけれど、小雨の中、長靴を履いて校庭に飛び出したチームも!

自分たちのチームの「赤いボール」はどんな気持ちなんだろう、どんなお話にする?

​すべてこどもたちがお話を考え、iPadを使って撮影、編集していきます。

赤チーム

<赤①チーム>

赤いボールの気持ちを撮れと言われてもどうしたらいいのか全然わからない、とりあえず教室の中で自分たちとボールが一緒に遊んでいる様子を撮ってみよう、ということで撮影開始。撮ったカットをプレビュー。小学生がボールを投げて遊んでるだけじゃんとは誰も言いませんでしたが、みんなの表情からこれではない感がありありと窺えました。このまま停滞してしまうかと思いきやカメラをやっていた子が、このボール、自分らと遊んでるのがつまんないから教室から出てっちゃう、なんてどう?と発言。まさに鶴の一声。おかげでみんなのテンションが一気に上がり、次から次へとアイデアが出てきました。自分たちの芝居、ボールの芝居、カメラの位置やアングルにこだわって撮影は進み、制限時間ギリギリで何とか全カット撮り終え、編集へ。はじめて触れる編集ソフトをあっという間に習得し、繋ぎを何度も試し、みんな納得した上で作品完成。わずかな時間の中でボールの気持ちを画面に定着させるだけでなく、あのステキなラストカット(階段で赤いボールが地球儀と出会う!)まで撮ったみんなは凄いです。

<赤②チーム>

こどもたちが体育館で赤いボールを投げて遊んでいる、というだけのカットと思いきや、突然女の子がカメラめがけてボールを投げ、ボールがカメラにぶつかる瞬間(レンズを手で覆って)暗転。よくわからないけど面白い!とみんな爆笑。ボールの気持ちや次の展開そっちのけで夢中になって何度も撮っていました。カメラにぶつけられたボールは体育館から廊下へコロコロと転がっていきます。ボールのあとをグラグラと不安定に追いかけるカメラ。撮影時にミスした箇所を摘んだためギクシャクしたジャンプカットになった編集。という珍妙な画の連鎖のせいでしょうか、ボールがこどもたちと遊び疲れてヘトヘトになって逃げていくように見えました。よくわからないけど面白いあのカットがきっかけとなって思わぬかたちでボールの気持ちが表現されました。

(チームリーダー/まーしー)

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青チーム

青チーム

青チーム

青の2チームはそれぞれ別の雰囲気を持った映画を作り出しました。一つのグループはスローモーションを多用して、ネットに引っかかったバスケットボールを助けたり赤いボールと遊んでいる様子を躍動感あふれる映像で撮りきります。もう一つのチームは赤いボールがこども達と仲良くなる様子を撮影しました。ボールからの見た目カットを挟んで親密さを表したり、とても工夫していました。

スローを多用したグループは映像が長くなって、編集がとても大変になってしまいましたがみんなで粘り強く一つの映画に仕上げていきます。どちらのグループも夢中でボールを追いかけながら、楽しい赤いボールの映画ができました!(チームリーダー/ふかちゃん

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緑チーム

鑑賞ワークのときから、元気いっぱいだった緑チーム。全員が積極的に意見を出し合い、模造紙いっぱいに付箋を貼りました。
撮影開始直後、一瞬でしたが雨が止んだので校庭へ。校庭の遊具を使って撮影をしたりなど、短い時間でしたが工夫して撮影をしました。校舎内での撮影も様々な工夫をしました。特に階段での撮影は何度も失敗しましたが、根気よくテイクを重ね、納得のいくものが撮影できました。
編集では、全く別のシーンが編集で繋がることを発見し大盛り上がり。みんなで楽しみながら映画作りができました。

(チームリーダー / かずちゃん)

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オレンジチーム

オレンジチームは鑑賞ワークのときから活発で、書く付箋がたちまちに足りなくなってしまうほどでした。

撮影は2チームに分かれます。とりあえずやってみるオレンジ1とじっくり考えるオレンジ2。それぞれの特徴どおり、赤いボールの移動をスピード感あふれるカメラワークで撮ったオレンジ1と、「逆回し」などの工夫をこらして赤いボールが友達に見えるように撮ったオレンジ2。

オレンジ1では、始めに女の子の手に赤いボールが飛び込んできます。2人の女の子の間を行き来していたボールは、いつの間にか男の子たちの手に渡ります。しかしそこから逃げるかのように教室の隅へ転がっていったところで、赤いボールは始めの女の子の手の中にまた戻っていきました。最後になんだかほっとします。赤いボールも同じ気持ちかもしれません。

オレンジ2は、赤いボールが教室に入ってくるところとみんなと椅子に座っているところをまず撮りました。でももっと仲が良さそうに見えないだろうかと悩んだすえに出てきたアイデアが、編集で逆回しにすることで一緒に階段を上がってくるように見せよう!というものでした。最後にボールが階段を下る3カットは、編集のときに思いついたものです。始めに階段を上がってきたから最後は階段を下りて行くのを入れたいということでした。やはりボールは人間とは違い、椅子に座っているより転がっているほうが好きなのでしょうか。

素敵な2本ができあがりました。(チームリーダー/おっくん)

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むらさきチーム

撮影日はあいにくの雨空。むらさきチームのみんなはそれを逆手にとって、「お外に遊びに行こうと思ったけれど、雨でがっかり。教室に戻っていくボール」の気持ちを撮ることに。特にこだわったのは、ボールが階段を昇って教室に戻るシーン。どんな風に撮ったら、階段を昇っているように撮れるかを工夫しました。

​撮影のあとは編集に入りましたが、どうにもカットが足りない…。編集時間残り5分のタイミングで「絶対撮りたい!」と追加撮影を決意。みんなで力を合わせて、足りないカットを撮影。急いで編集して、時間ギリギリで映画を仕上げました!

(チームリーダー/ぬっきー)

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2日目

​2日目は、みんなが撮影&編集した映画の上映会!

撮影までは、3年生から6年生まででしたが、上映会には1-2年生もゲストで観に来てくれました。

​赤いボールの旅は「横浜」から「ボストン」「サンパウロ」「サンティアゴ」…と続き、いよいよ新荘小学校へ!

みんなの映画がつながって、新荘小学校でのボールの旅が繰り広げられます。

諏訪さんがみんなが作った映画を観て「みんなは一人一人がとても楽しみながら仲間と映画を作りましたね。それは素晴らしいことです。映画には”正解”がありません。みんなが心から楽しんで作ることが大事なんです」ってお話してましたね。

映画をつくったみんなはもちろん、2日間みんなを見守っていた先生たちのハートにも届く作品になりました。​

みんなのつくった映画

​新荘小学校を出発した赤いボールは、次は宿毛市の橋上小学校へ!

​さぁ、どんな冒険が「赤いボール」を待っているのでしょうか!

赤いボールの次の冒険はこちら!

こども映画教室@高知県 宿毛市 橋上小学校

-文化芸術による子供育成総合事業「赤いボールを主人公にした映画を撮ろう!」-

宿毛市 橋上小学校​のレポートはこちら

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